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引きこもりにならない睡眠


子どもの睡眠リズムの乱れと問題行動に関する研究の動向について調べました。


脳の発達が一段落する小学生以上の子どもは十分に睡眠が取れていないと、微熱、腹・頭痛、不眠、貧血といった自立神経系の障害に伴う「疲労感」や「倦怠感」が表れてくる。

これらは、休息の必要性を知らせる警報の役割を持つので、気付いた時にしっかりと休養を取れば問題はないが、自律神経系の異常を放置して悪化させてしまうと、次のような状況 になると報告されている。

①寝つきが不良で朝起きられず、午後からも持ち直す昼夜逆転の生活リズムが起こる。

②学力意欲をなくして勉強が手を付かず、新しいことを覚える短期記憶が低下する。

③非常に疲れやすく、持久力が低下する。

④免疫力を低下する者もいて、日常生活を送れる状態にない。

このような状態が陥ると、学校に通うのは困難になってくると推測できる

子どもの心身症で重要なものとして,気管支 喘息,アトピー性皮膚炎,繰り返す周期性嘔吐症,腹痛や頭痛,過敏性腸症候群,摂食障害,チックや起立性 調節障害,不登校などを挙げており,心の問題は自律神経系(呼吸・体温・心拍・血圧・血流・睡眠)および それと不可分の関係にある免疫・代謝・内分泌系に大きく影響している様子がうかがえる。

近年になって、脳時計は夜ふかし・遅寝によって壊れやすいものであることが分かってきた。

夜更かしをして、次の日に登校しなければならないと睡眠時間は短くなる。

平日は眠さを我慢して、休日に寝不足を補う「寝だめ」を行う。

しかし、例えば、平日は6時間、休日は8時間以上も寝てしまい、90分以上の差ができてしまうと、普段より多く寝た休日の晩に遅寝が始まり、翌週から「睡眠の覚醒リズム」が狂ってしまうと指摘する。

また、遅寝が習慣になると体内時計が遅寝のリズムにセットされるので、寝ようとしても眠れなくなってしまう。

このような不規則な 睡眠習慣が行動・感情面の問題や「イライラ」「不安」「抑うつ」を引き起こしている状況もあり,望ましい対応とは言えない。

しかし、脳が疲れていても不足した睡眠時間を補えば、疲労は回復することができ、体内時計が多少乱れていても規則正しい生活リズムを心がければ体内時計を調整することができる。

ところが、今の子ども達は長い活動時間をこなしている上に、休日も習い事やクラブ活動と忙しく、 疲労が蓄積する脳と混乱する体内時計の修正する時間の余裕は減っている。

日々の疲労が蓄積し続けると学校に通うことが難しく、「不登校・ひきこもり」 と呼ばれる状態になってしまうことが予想できる。

現代の急激な社会構造の変化,家庭の経済的格差や養育困難の拡大のなかで,また 子どもの迷い・失敗などの試行錯誤を持てない社会の非寛容さや学校の厳しい管理統制のもとで,子どもは 日々,『排除』されないように,多様な不安・緊張・抑うつ・ストレスを抱えながら現代を必死に生きている ことを示しており,自律神経失調症や不登校などの心身の発達困難,いじめや非行などの多様な不適応を有する子どもが少なくないことを指摘している。

現在の不登校の原因は「いじめ」、「親子関係」、「学業不振」などが指摘される。

しかし、それらは「不登校・ひきこもりの原因は、作り出した本質というより、むしろきっかけとなる初期の引き金である」 という考えがある。

学校に通えなくなった子ども達は、夜更かし・遅寝の生活習慣を続けることにより、さらに疲労が蓄積し、昼夜逆転生活に変化していくことが現実に起こっていると指摘している。

子どもの生活習慣の乱れには、親の生活習慣が大きく影響していると考えられる。

大人社会の昼夜の区別がない親の生活リズムに子ども達を巻き込んでしまい、 睡眠に対する子どもの意識は薄れ、就寝・起床という生活リズムを確立されにくく、発育が損われてい く危険性がある。

そのため、大人の睡眠の意義を再確認し、規則正しい生活をする重要性を認識できる働きかけを行う必要があると指摘する。

このように、保護者の子どもの睡眠時間の確保・生活リズムの確立のへの重要性の認識が高いとは言えないことが分かる。

睡眠不足状態や睡眠リズムと心理的ストレス等が合わさると,起立性調節障害や小児慢性疲労症候 群といった疾患を引き起こすこともある。

これらの疾患は,不登校とも強く関連するものである。

起立性調節 障害は10歳頃から見られる疾患であり,小学生の約5%,中学生の約10%,高校生の約16%に発症すること,思春期が発症のピークであり中学生の約1割が発症すると報告されている。

発症の要因については思春期特有の内分泌系,自律神経系などの急激な変化に対する代償機構が不十分であることや過剰な心理社会的ストレスがあること,生体リズムが外界のリズムからずれていることが挙げられている。

症状については朝なかなか起きられない,立ちくらみ,めまい(浮動感) ,倦怠感(臥位には軽減する),失神または失神前症状などの起立性失調症状のほかに,入眠困難などの睡眠障害,頭痛,手足の冷え,車酔い,腹痛などの自律神経失調症状,思考力・集中力の低下,学力の低下,イライラ感,午前中の無欲状態といった精神症状がある。

ストレスの強い時には症状も悪化し,楽しいことがある時には軽快するといった心因反応があるため,周囲からなまけと捉えられることもあり,周囲の無理解によるストレスが症状を悪化させることもある。

小児慢性疲労症候群は小学生以上の子どもに起こることが多い。その背景には習い事や部活動等による慢性的な睡眠不足状態による生体リズムの乱れがあり,そこに何らかの心理的ストレスが加わることで発症するという。症状については,日常生活に支障をきたすほどに激しい疲労感が6ヶ月以上持続することを特徴とし,疲労・労作後疲労・睡眠・疼痛・神経認知・不眠・自律神経・免疫に関する多彩な症状が認められることが報告されている

これらの疾患はストレス等の心理的要因が強く影響するものであり,いずれも強い睡眠困難や疲労感,自律神経系症状を示し,多様な発達困難につながるものである。

慢性的な睡眠不足等による生活習慣の乱れが日常 生活に支障をきたすほどの体調不良につながり,場合によっては不登校を引き起こすこともあることを踏まえて,生活習慣を見直す必要がある。

現在は新型コロナウイルスの影響により、生活習慣が乱れている子も多いのではないでしょうか。

↑まさにうちの長男w

規則正しい生活リズムや生活習慣は心の衛生面でもとても大切な要素であり、豊かな人生を送るためには『早寝早起き・3食をきちんと食べる』というシンプルな基盤がとても大切なように感じます。

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